迷いなくアジアンブリーズを選択

「プロ野球選手になる」僕が野球を始めた時から口にしている言葉です。気付けば25歳。もう後はなくなっていました。静岡県のクラブチームに所属していた僕は、このまま踏み出さずに終わりたくないと、チームを退団しいくつかのトライアウトを受ける決断をしました。

その中の1つWorld tryout 2019にて、色川冬馬さん・松坂賢さんと出会い、その時初めてアジアンブリーズを知りました。

とにかくこれまでよりも高いレベルで野球を続けたかった僕にとっては、この上ないチャンスでした。

さらにアメリカでは25歳なんてまだまだ若手だと、力さえあれば可能性は十分にあると、教えて下さりました。日本でずっと野球をしてきていた僕は、勝手に自分のプレイヤーとしての期限をあと1〜2年だと決めつけていました。

そのマインドブロックを解いてくれたこと、そして新たなステージで野球ができるチャンスがそこにはあるということ。

僕は迷いなく、差し伸べられた手にしがみつくことにしました。

アジアンブリーズでの経験できたこと

アジアンブリーズにて経験できたことは大きく4つです。

1.違う文化の中で野球をすることができたこと

日本でやってきた野球が野球の全てだと思っていました。しかしアメリカには近しくも、少し異なる野球がありました。

1番感じたのは、結果が全てであるということ。

守備において、とにかくアウトにするために動くということを感じました。もちろん日本でもアウトを取るためにプレーをしますが、僕の感覚的には、相手に流れを渡したくないからかなるべくエラーをしないような動きで、エラーを悪とする練習をします。

それがアメリカではセーフを悪とする野球をしているように見えました。ミスをしようが、ギリギリセーフだろうがセーフはセーフ。とにかく一番速い動きで。その動きでエラーをしなくなるように練習するという感じです。

日本では、とにかくミスが少ない動きで。その動きをだんだん速くしていく。そういった違いを感じました。

また、アメリカは日本と比べて練習時間が短いと言われます。確かにそうでした。毎日物足りないくらいです。

これも結果を出すためのやり方なのかと考えました。まず、練習で疲れて試合でベストパフォーマンスを出せなかったら意味がない。さらに、全体練習が早く終われば、個人個人が結果を出すために行う練習に時間を費すことができる。

とにかく結果を出すためには、全体練習の時間を短くするというのも有効な手段だと感じました。

結果が全てという考え方が僕は好きです。

もちろん、過程も大事という考え方を否定するつもりはありません。日本の野球には日本の野球の良さがあって、アメリカの野球にはアメリカの野球の良さがありました。両方を経験し、それらを融合させることで野球の可能性をもっと広げられるのではないかと考えました。

しかし、両者の間では異なることだけでなく、共通することも見られました。

野球に臨む姿勢が大事であるということ。コミュニケーションが大事であるということ。良いプレーはとにかく褒めるということ。

日本人がほとんどの中で、共にプレーをしたアメリカ人選手が1番口にしていた日本語は、「いいね!」でした。

日本でもアメリカでも変わらない大事なことは、すごく素敵なことだなと感じました。

2.これまで出会ったことのなかったような選手とプレーできたこと

アジアンブリーズで出会ったチームメイトたちには今まで味わったことのないような居心地の良さがありました。

きっと同じ志の元に集まったメンバーであるということ。みんなが慣れない環境に少なからず不安を抱いていたということ。そして単に、プレイヤーとして尊敬できる選手が多くいたということ。これらのことがこの不思議な感覚をもたらしてくれたのだろうと考えています。

実際には約2週間しか行動を共にしていないメンバーですが、今でも連絡を取り合ったり、悩んだ時には相談したり、お互いのことを応援し合えるような素敵な仲間たちと出会うことができました。

3.アメリカで生活することができたこと

たったの2週間ですが、アメリカで生活をしたということは大きな財産になっています。まず何よりも言葉の壁を思い知ることができたということ。中学校・高校レベルの英語はある程度理解できていたため、アメリカに行っても言葉はなんとかなるだろうと考えていました。これに関してはすぐに現実を突きつけられることになりました。2週間の間、全く英語でコミュニケーションをとることはできませんでした。帰国後すぐに勉強し直すことができたことにより、現在はオランダにおりますが、英語を使ってある程度の会話はできています。

また、食事・気候・人柄・景色、そして文化など、これまで出会えなかったような素敵なものとも多数出会うことができました。それと同時に当たり前だと思っていた日本の素晴らしさも感じることができました。

アジアンブリーズは野球の新たなステージを見出すことができるだけでなく、他にも多くのことを経験することができる素晴らしい場所でした。

4.初めて1人で海を渡ることができたこと

1人で海外に行くというのは初めての経験でした。パスポートは持っていましたが、航空券の取り方や海外に行くにあたっての保険の手続き、アメリカにおいてはESTAの申請など、初めてのことだらけでした。

その点においても、アジアンブリーズのスタッフの方々はよく理解してくださっており、手厚くサポートして下さりました。初めて海外に行くのに、これほど頼りになる団体はなかなか無いのではないでしょうか。現地でも多くのスタッフの方が行動を共にして下さり、生活のサポートから飲食店やホテルでの通訳まで全てにおいてサポートして下さりました。

アジアンブリーズは野球のことからこのような諸手続きのサポートまで全てを選手目線で考えて下さる素晴らしい場所でした。

契約を勝ち取るも…

アジアンブリーズでのトライアウトを終え、米独立リーグのエンパイアリーグに挑戦することができることになりました。

しかしリーグは、コロナウィルスの影響により度重なる開幕延期からの最終的には国外からの選手受け入れ断念。6月半ばに野球ができる場所を失ってしましました。

そんな時に頼りにしたのがアジアンブリーズです。

チームメイトたちは同じ状況で苦しんでいたため、互いに励まし合い、前を向こうと声を掛け合うことができました。

そして何より力になって下さったのが、色川冬馬さんと松坂賢さん。一気に多くの選手たちが行き場を失っている中、1人1人真摯に相談に乗って下さりました。

僕が思い描いているプロまでの道のりに合わせて、多くの選択肢を見出して下さり、2人のおかけでそこで諦めることなく、次を目指すことができたと思っております。前を向こうとする僕たちを最後まで見捨てず、手を差し伸べて下さりました。

最終的にオランダのリーグと契約することができ、世の中がまだまだ大変な中ですが、思い切り野球をすることができています。この上ないチャンスを頂けたことに感謝の気持ちしかありません。

あくまで僕の目標はMLBもしくはNPBでプレーをすることです。オランダの地で力をつけて次のステージを目指します。まず目の前の目標は、来シーズン開始時のマイナー契約。多くの方が繋いでくださったこのチャンスを必ずものにします。

最後に

アジアンブリーズに出会えて、アジアンブリーズを選択して本当に良かったと思っております。アジアンブリーズは人生が変わる場所ではありませんが、人生を変えられる場所ではあると思います。アジアンブリーズは、前に進もうとする僕の前に道を照らし出してくれました。

改めて心からの感謝を述べるのと共に、アジアンブリーズの更なる発展をここにお祈り致します。

本当にありがとうございました。